第13章 交錯する想い
塔につくなり、慌ててかけてきた特別上忍によってアンコ、暗部達は上層階の待機所へと連れていかれた。
ダンッ!!!!
塔の入り口に一人残ったマイは、壁にヒビが入るのも気にせず、悔しさと苛立ちをぶつけた。
『っ…何で…こんなときに…』
否、こんな時だからこそなのである。
それはマイも分かっていた。
中忍試験の最中は、他里の忍が出入りするため、紛れ込むのは容易である。
しかし、そんな理屈などどうでもよかった。
忍を夢見て、里を守ることを夢見て、中忍試験に命をかけて挑んでいる試験生達を、踏みにじるかのような大蛇丸の出現。それが許せないでいたのだ。
おそらく、力のあるものを自分のものにし、実験の材料にしたいのではないだろうか。
「木ノ葉」への復讐…。
先程塔に来るまでに、アンコから聞き出した情報から推測すると、
今はまだできないが…準備が整えば実行するということなのだろう。
「木ノ葉崩し」を…。
マイは自分の唇から噛みきった血が伝うのも気にせず、さらに拳を叩きつけた…。
また失うのか…。
また私は…何も出来ないのか…。
『でも…とめられない。この試験、とめたらおそらく大蛇丸は動くはず…。』
更に怒りをぶつけるため、手を振り上げ壁に叩きつけようとした…その時、
後ろから振り上げた右手を掴まれる。
『カ…カカシ…』
「拳…潰す気なの?」
カカシが何故ここにいるのか…。
普通ならそう問いかけるのだろう。
しかし、珍しく冷静を欠いたマイは、
止められた右手を振り払い、カカシと向き合う。。
『いいのよ。止めないで…。』
「どうしたんだ…お前らしくない…」
お前らしいって…何?
『うるさい!この状況で落ち着いてなんていられるか!?私がついていながら、サスケに呪印を許してしまった…。
私がいながら、大蛇丸をとめることもできない!!何が暗部だ!!何が木ノ葉を守るだ!!私なんて何にも出来ないじゃ……』