第12章 中忍試験開始!!
紅の顔色が変わる。
マイは続けた。
『木ノ葉暗部
拷問・尋問部隊隊長…特別上忍
森乃イビキ』
付け加えるように、カカシが続ける。
「まぁ試験に…肉体的な拷問はないにしても…、尋問のスキルをいかした精神的な苦しめを強いられているに違いない…」
…はぁ…と、溜め息をつく四人。
『ま、まぁ…大丈夫ですよ。今年のルーキーはなかなか面白い面子ですから♪ははは』
正直、マイは心配で仕方なかった。
サクラとサスケは良いとして、問題はナルトである。
イビキが試験官のペーパーテストとなれば、恐らく心理をうまくついた裏をかくような問題に違いない。
はぁーっともう一つ溜め息をつくと、マイはとぼとぼと入り口へと歩いていく。
『じゃ、私…暗部の仕事ありますので…』
「ナルトが心配なんでしょ?大丈夫よ!あの子何とかなりそうだもの!」
『二次試験…アンコですけどね…』
―――――――チーン――――………
木ノ葉を代表する忍達も、この時ばかりは溜め息をつくしかなかった…。
マイが部屋を出た後、少し談笑しカカシも部屋を後にした。
待機所から離れ、廊下の窓からマイの家の方角を眺めながらカカシは、この前の出来事を振り返っていた。
――イルカ先生と、何かあったの?――
自分の問いにあきらかに動揺していた。返事もなくその場を後にしたマイの後ろ姿が頭から離れない。
見るつもりも、立ち聞きするつもりもなかった。
咄嗟に現れた二人に、つい木に登り隠れてしまった。
イルカと話すマイはとても楽しそうで、イルカもすごく幸せそうだった。
イルカの真っ直ぐな心に惹かれているのだろうか…。
何の躊躇いもなく告白するイルカが…疎ましかった。
自分にはマイに思いを伝える資格などない…。
彼女を傷つけた、あの夜が…忘れられないでいる。
カカシは自然と拳を握りしめていることに気づき、苦笑した。
「でも…譲れないよね…マイだけは…」
今、自分に出来ることをしよう。
握った拳を胸へとあてがう。
「ケジメ…つけましょうか…。カッコ悪いなんて言ってられないよね~」
ふと視線の先に伝達鳥を確認する。
第一次試験の終わりを告げていた。