第10章 本当のワタシ
流れで話した…とは言ったものの、まさかコイツに本当の事を言えるか…と、
マイは胸の内で悪態をつく。
何せ、紅にばれてしまった元凶はこの男がキスしてきたせいなのである。
『うるさい…すけこまし……』
「なっ!?それ関係ないでしょうよ!」
マイから望んでいた答えとは到底かけ離れた発言に慌てるカカシ。
勢いにまかせて道端で襲ってしまったのもそうだが、まさか想い人本人に他の女と抱き合う姿を見られてしまったのだ。
カカシが焦るのも無理はない。
「と、とにかく…生きていてくれて良かったよ…」
カカシも何処と無く気まずいのだろうと察したマイはクスクスと笑だした。
生きていてくれて良かったというカカシの言葉に、安心したマイは、伝えることが出来た充実感で満たされていた。
『うん…ありがと…。じゃあまた後で』
病室を、去っていくマイの背中を見つめながら、カカシは噛み締めるように小さな声で
「おかえり…」
と、呟くのだった。
――――――……
『派手にやられたね♪』
「えっ!?なんでマイさんがいるのー?」
所変わってサスケの病室に顔を出したマイに、お見舞いにきていたサクラが驚きの声をあげる。
『うん…心配で来ちゃった♪』
「来ちゃったって…あんた一般人だろ?よく火影が許したな…」
ベットで横になりながら、マイへと声をかけるサスケ。
疑問を持つのも無理はない。戦闘になった地へ火影が一般人を向かわせる承認など、普通なら有り得ない話なのだ。
じっと不信の目を向けるサスケに近づくと、覆い被さるようにマイは抱き締めた。
「なっ!」
「え!マイさん!?」
二人の驚愕する声がする。
『元気そうで…本当によかった…』
自分の勘が当たり、危険に巻き込まれた子供たち。
無事でいてれたことにマイは心のそこから安堵していた。
『よし!元気な姿も見られたし…ナルトの様子を見てくるね!』
サスケから離れると、マイはご機嫌で病室を後にした。
「け、結局…誤魔化された…」
「サスケくん…顔赤いよ…」
慌てるサスケにふてされるサクラが
そこにいた。