第10章 本当のワタシ
貴方に話したいことは山程あるの…
何年も経って…お互い大人になったよね…
でも…昔と変わらずに、また肩を並べて笑い合えるかな…?
何者でもない、水流園として生きていくことを認めてくれた皆…
貴方も…受け入れてくれるかな…?
一つ前に進むために、貴方には聞いてほしい…。
私が胸をはって生きてきた、この時間を…。
だから…
『カカシ…ただいま。』
カカシは一瞬目を見開くと、応えるように自分の口布も下げ、嬉しそうに伝えた。
「あぁ…
おかえり…マイ。」
マイは輝くような笑顔を見せ、
『私の話を…聞いてほしいの…』
と、語り始めた。
―――――――……
『………とまぁ…今に至ります…』
「な~るほどね~」
マイから真実を聞き、納得したように頷くカカシ。
「で…水姫も君ね…道理でべらぼうに強いわけですね…」
『いや……かたじけない…』
ふーん。と横目で見てくるカカシに、から笑いしつつ答えるマイ。
「暗部って…話して大丈夫なの?現役バリバリでしょうよ?」
自分も身をおいていたカカシは、正体を明かしたことを心配する。
『うん……大丈夫。ひー…火影様は私を暗部から外すつもりなの…。
水流園ってバレたらいつかは分かることだし…、カカシみたいに表で働くことになると思う。』
「そっか…」
『うん…それにね…。紅先輩が言ってくれたの…。
自分の一族を語って生きて何が悪いのかって…。
そんな風に考えたことなかったから…驚いたし、水流園の運命って勝手に決めて生きてきた自分に気づかされた…』
「うん…」
静かに自分の話に耳を向けてくれるカカシに、マイが少しホッとしていると…
「面白くな~い」
不貞腐れたように吐き出したカカシの言葉に、マイは黙っていた申し訳なさから、む~と項垂れる。
「な~んでアスマと紅が俺より先に知ってるのよ!!」
『はぁ!?だから…さっき話したじゃない…』
思ってもみなかった所でふて腐れていたようで、マイは呆れたように返した。
「アスマは…ムカつくけど咄嗟の事だから仕方ないとはいえさ…なんで紅もよ!」