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足元に吹き抜けてく花びら

第9章 2人の暮らし


窓の外では、イギリスの空が広がっていた。
遠く離れた国で、ふたりと一匹の新しい日々が、静かに始まっていた。



イギリスの空は、思ったよりも広くて静かだった。
英美子は、千切のアパートの窓辺に腰かけながら、サクラがカーテンの影でじゃれる音を聞いていた。
千切が遠征で不在の日は、英会話学校に通い、少しずつこの国の言葉に慣れていった。
最初は緊張で声が震えたけれど、先生の笑顔と、千切の


「大丈夫だよ」


という言葉が背中を押してくれた。

千切が帰ってくる日は、サクラを真ん中にして、三人で過ごす時間が何よりのご褒美だった。
スーパーで買った食材で一緒に料理をしたり、近くの公園を散歩したり。
ふたりが公園で英美子が作ったお弁当を食べながら芝生の上で戯れたり、その様子を千切は笑いながらスマホで写真を撮った。

「英美子、こっち向いてー。」

「ちょっと待って、髪が風で…!」

「風で乱れてるのも可愛いって!」

そんなやり取りが、日々の中に自然に溶け込んでいった。

夜になると、千切はトレーニングの疲れをほぐすように、英美子の膝に頭を乗せてくる。

「今日も頑張った?」

「うん。でも、英美子の膝が一番癒される。」

サクラはその隣で丸くなり、寝息を立てる。
その静けさが、英美子にとっては何よりの安心だった。
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