第8章 イギリスへ
「英美子!」
「豹馬!」
ふたりは駆け寄り、サクラのキャリーを挟んで抱き合った。
空港のざわめきの中、再会の喜びが静かに満ちていく。
「よく来たね。…待ってた。」
「うん。来たよ。」
千切はサクラのキャリーを受け取り、荷物を手際よく運びながら言った。
「さあ、行こう。俺のアパート、2LDKだからサクラも快適に過ごせると思う。」
千切の住むアパートは、郊外の静かな住宅街にあった。
白い壁と木の床が温かく、窓からは柔らかな光が差し込んでいた。
サクラは部屋の隅でくるりと回ってから、千切の膝に乗って丸くなった。
「…もう懐いてる。」
「俺、動物にもモテるんだよ。」
英美子は笑いながら、キッチンに立ってコーヒーを淹れた。
カップを手渡すと、千切はそれを受け取りながら、彼女の手をそっと握った。
「ここが、俺たちの家だよ。英美子とサクラと、俺の。」
英美子はその言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
「…うん。ここから始めよう。」