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足元に吹き抜けてく花びら

第8章 イギリスへ


パスポートが発行された日、英美子は役所で生活保護の打ち切り手続きを終えた。
窓口を出た瞬間、胸の奥に小さな空洞ができたような気がした。
それは不安ではなく、覚悟の跡だった。

帰り道、英美子は恵美の家に立ち寄った。
サクラを譲ってくれた彼女に、きちんと別れを告げたかった。


「本当に行くんだね。」


恵美は少し寂しそうに笑った。


「うん。…ありがとう、サクラのことも、そしてて、今までずっと支えてくれたことも。」

「英美子なら大丈夫。サクラも、きっと向こうで幸せになるよ。」

抱き合ったあと、英美子は深く頭を下げて、静かに家を後にした。

その夜、千切に出発日をLINEで伝えた。

『チケット送ったよ。空港で待ってる。』

画面越しの言葉に、英美子はそっと頷いた。


出発当日。
空港のゲート前で、英美子はサクラのキャリーケースを抱えながら、深呼吸を繰り返していた。
荷物は最低限。必要なものは、向こうで揃えればいい。
何よりも、千切が待っている。


飛行機が着陸し、入国審査を終えてゲートを抜けると、そこに千切がいた。
赤い髪が人混みの中でもひときわ目立っていた。
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