第7章 結ばれた2人
「…ほんとに、行っていいのかな。私なんかが。」
「英美子だから、来てほしいんだよ。」
千切は、ポケットから封筒を取り出し、英美子の手にそっと握らせた。
「当面の生活に必要な分。困ったらすぐ連絡して。」
英美子は言葉を失い、ただ彼の手を握り返した。
ゲートのアナウンスが響き、千切は名残惜しそうに彼女を抱きしめた。
「行ってくる。…すぐ迎えに行くから。」
「うん。…気をつけて。」
後ろ髪を引かれるような思いで、千切はゲートの向こうへと消えていった。
英美子はその背中を、最後まで見送った。
帰宅した英美子は、サクラを抱き上げて静かに言った。
「ねえ、サクラ。私たち、イギリスに行くんだって。」
サクラは小さく鳴いて、英美子の胸に顔をうずめた。
その温もりに、英美子は少しだけ勇気をもらった。