第1章 出会いは病院で
千切の様子を見て、英美子はほっと息をついた。
「……よかった」
呟くようにそう言って、胸の奥に溜まっていた不安を少しだけ吐き出す。
「紹介します。仲間の潔世一と、蜂楽廻です」
千切はそう言うと、まず黒髪の青年の肩に手を置き、次に、先ほど遠ざけた黄色いインナーカラーの青年へ視線を向けた。
黒髪で真面目そうな青年は、
「ども」
と小さく頭を下げ、少し距離を取った場所に控えめに立つ。
一方、蜂楽と呼ばれた青年は、屈託のない笑顔で軽く手を振ってきた。
英美子は三人に向かって静かに頭を下げた。
「皆さん、この度はご迷惑をおかけしました」
恭しく頭を下げ、深い感謝の気持ちを伝える英美子に、潔と千切は慌てて首を振り、蜂楽は笑顔で言った。
「困った時はお互い様!気にしなーい!」
明るく慰めるような蜂楽の言葉に、英美子の表情が少し和らぐ。
「それより、荷物のことなんですが…」
潔が言いにくそうに口を開き、カートを英美子のベッド脇にそっと置いた。
「桜沢さんが倒れた時、カートも一緒に倒れてしまって、中身が飛び出してしまったんです。ほかの食材は無事だったんですが、卵だけは割れてしまって…。でもご安心ください。無事だった食材やカバンの中身は、失礼かと思いつつもそのままにしておくのも気が引けて、公園の水道で洗って詰め直しました。あ、カバンも食材も、ちゃんと拭いてありますのでご安心ください!」