第1章 出会いは病院で
代わって、ベッドの柵越しに顔を覗かせたのは、先ほどの千切豹馬と、もう一人——黒髪で、真面目そうな目元の青年だった。
彼女は、彼らの顔に見覚えがあった。
(この人たち……公園で、子どもたちにサッカーを教えていた……)
記憶の断片が、少しずつ繋がっていく。
「覚えてますか?倒れた時のこと」
千切が彼女の青白い顔を見つめながら、心配そうに問いかけた。
「過労と貧血と、倒れた時の軽い打撲だそうです。
…すいません。俺、倒れたのに気づいて、急いで庇ったつもりが、かばいきれなかったみたいです…」
申し訳なさそうに肩を落とす千切に英美子は、体を起こし、慌てて手を振った。
「いえ、千切さんのせいじゃないです。自己管理を怠って、勝手に倒れた見ず知らずの私を庇って頂いて、本当に申し訳ありません。
千切さんにお怪我は?」
「お気遣いありがとうございます。幸い俺は怪我ひとつありません」
千切は、彼女の不安を和らげるように、ゆっくりと両腕を広げてみせた。