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足元に吹き抜けてく花びら

第6章 恋の始まり


千切の提案に頷くと、彼は上着で英美子を覆うように肩を抱き、彼女を支えながら足早にタクシー乗り場へ向かった。
人目を避けるように、二人は静かに車に乗り込む。


タクシーのドアが閉まり、車が滑るように走り出すと、ようやく二人の間に静けさが戻った。
英美子は窓の外に流れる街の灯りをぼんやりと見つめながら、膝の上で手を組んでいた。
千切は隣で、少しだけ体を傾けるようにして彼女を見つめていた。


「…寒くなったな、日本」


「うん。朝方なんてすごく寒くて、もうすぐ冬が来るんだなーって実感するよ」


「でも、英美子は変わってない。声も、仕草も」


その言葉に、英美子は少しだけ頬を染めて、視線を落とした。なんだか改めて言われると照れる。
千切はそれ以上何も言わず、ただ彼女の手にそっと自分の手を重ねた。
英美子は驚いたように彼を見たが、その手を振り払うことはなかった。


ホテルの部屋に入ると、千切はすぐにルームサービスのメニューを手に取った。


「何か食べたいものある? 俺、機内食ほとんど残したから、めっちゃ腹減ってる。」


「じゃあ…あったかいスープと、パンとか…?」


「了解。あ!俺肉食いたい。ステーキも頼もう。英美子ステーキ食べれる?あとデザートも頼もう。英美子、甘いの好きだったよな?」


「覚えてたんだ。」


「忘れるわけないだろ。」


注文を終えると、二人はソファに並んで腰を下ろした。
部屋の照明は柔らかく、窓の外には夜の街が静かに広がっていた。


「…こうして並んでるの、変な感じだね。」
英美子がぽつりと呟く。
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