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足元に吹き抜けてく花びら

第1章 出会いは病院で


ふたたび、めまいが襲った。視界がぐらりと揺れ、彼女はそのまま枕に倒れ込んでしまう。

頭痛とめまいが激しく、言葉もままならない。起き上がることすらできなかった。

その様子に気づいた千切が、慌てて彼女のもとへ駆け寄る。そっと肌掛けをかけながら、静かに言った。

「無理に起き上がらなくて大丈夫です。安静にしていてください。俺、まだ時間ありますから。気にしないで、ゆっくり休んでください。荷物のこともありますし、桜沢さんが起き上がれるようになるまで、ここにいますから——」

その声は、どこか不器用で、けれど確かに優しかった。

千切はそう言って、ベッド脇の簡易チェアに腰を下ろした。

彼女はその言葉に、不思議な安心感を覚えながら、再び意識を暗い闇の中へと沈めていった。

「う……うーん……」

軽く呻きながら目を覚ました彼女の視界に、今度は別の青年の顔が映り込んだ。

驚いて目を見開き、声にならない声を漏らす彼女に向かって、青年は明るい声で叫んだ。

「彼女、気がついたよ!」

嬉しそうに誰かへ声をかけると、彼は再び彼女の顔を覗き込むように身を乗り出し

「おはよ! 桜沢英美子さん!」

と、屈託のない笑顔で挨拶をした。

「気安いぞ、蜂楽!」

すぐさま、別の青年が彼の肩をぐいっと引き、彼女から距離を取らせる。蜂楽と呼ばれた青年は、黄色いインナーカラーが印象的だった。
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