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足元に吹き抜けてく花びら

第1章 出会いは病院で


そして、そっと彼女のそばに身を寄せると、小さな声で囁いた。


「彼とお知り合いなんて……すごいですね」

その言葉を残し、看護師は好奇の色を瞳に浮かべながら、静かにカーテンの向こうへと消えていった。

「……どういう意味?」

看護師の言葉の意図が掴めず、彼女は痛む頭を枕に沈めた。

そのとき、カーテンの隙間から、赤毛の青年がスマホを片手に滑り込むように戻ってきた。

「お待たせしました。仲間もすぐに、置いてきた荷物を持ってこちらに来るそうです。安心してください。えっと……桜沢さん」

名前を呼ばれた彼女は、訝しげに青年を見つめた。青年は少し気まずそうに頬をかきながら、口を開く。

「その……すみません。自己紹介が遅れました。俺、千切豹馬って言います。桜沢さんのお名前は、救急車に乗るときに身元確認が必要だったので、救急隊員の方と一緒にカバンを確認して……手帳を見てしまって」

手帳——おそらく、障害者手帳のことだろう。

彼女は合点がいき、少しだけ警戒を解いた。千切と名乗った青年に礼を言おうと、まだ痛む頭を押さえながら、上体を起こしかけた——その瞬間。

「……あっ」
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