第3章 運命の記者会見
「俺は潔 世一。サッカーばっかやってるけど、こういう場はちょっと緊張するな」
「蜂楽 廻!よろしくね、ねえ桜沢さん!英美子さんて呼んでいい?今回こんな騒動起こしちゃったけど、俺、こう見えてもけっこう真面目なんだよ?……たまにね!」
「凪 誠士郎。……眠いけど、今日は起きてる」
「御影玲王です。今回はうちのグループの施設を使ってもらってます。何かあれば、遠慮なく言ってください」
皆の言葉に、英美子は少しずつ表情を緩めていった。
そして、ふと口を開いた。
「その……流石に御影グループの存在はわかるんですけど、わたし今回のイベントや、皆さんのこと、全然知らなくて……」
一瞬、空気が止まる。
「本当に知らなかったんだ」
「そんな感じはした」
蜂楽が潔に小さく耳打ちし、潔も答えた。
みんなの中で話を聞きながらも何か浮世離れした感じの彼女の発言が腑に落ちた。
「失礼な話ですが、芸能とかスポーツとか、興味なくて……うち、テレビも置いてなくて、ニュースも見ないから……。コンビニの買い物ついでに買ったスポーツ新聞で、今回のこと知って……」
英美子はきまり悪そうに視線を落とした。
「だから、蜂楽さんに抱えられてた写真が載ってて……それで初めて、皆さんが“有名な人”だって知って……」
千切がそっと笑みを浮かべながら言った。
「英美子さん、気にしなくていいですよ。僕たちも、ただのサッカー好きの集まりから始まっただけですから」
「そうそう!」と蜂楽が乗っかる。
「俺ら、ブルーロックっていう育成プロジェクトで一緒だったんだよ。今はそれぞれプロでやってるけど、今回のチャリティーイベントは、昔の仲間で集まってやるんだ」
潔が補足するように続けた。
「“世界を救うエゴ”っていうテーマで、被災地支援と、恵まれない子どもたちへの募金を集める試合なんです。メディアが騒いでるのは……まあ、蜂楽のせいだけど」
「えっ、俺!?」
蜂楽が素っ頓狂な声を上げると、玲王がため息をつきながら肩をすくめた。
「お前が彼女を抱えて走った写真が、センセーショナルに使われたんだよ。マスコミはそういうの、逃さないからな」
凪はぼんやりと天井を見ながら呟いた。