第3章 運命の記者会見
老齢の女性は玲王に一礼すると、エレベーターの前に立ち、入り口を塞ぐように静かに佇んだ。
その様子を見て、玲王は満足げに目を細めた。
この場所は、彼女を守るために用意された砦だった。
「黒澤!」
玲王が静かに名を呼ぶと、奥の扉が開き、艶のある長い髪を後ろに束ねた青年が姿を現した。メガネをかけ、端正なスーツに身を包んだその青年は、無駄のない所作で玲王の背後に控える。
玲王は彼を示しながら、英美子に紹介した。
「彼は黒澤といいます。今日から、桜沢さんのお世話とボディーガードを兼ねて、執事として呼びました」
紹介を受けた黒澤は、出すぎない程度に半歩前へ進み出ると、折り目正しく一礼した。
「黒澤 澪と申します。この度は、お嬢様のお世話を玲王坊っちゃまより仰せつかりました。
執事として、誠心誠意努めさせていただきます。どうぞ、なんなりとお申し付けください」
その丁寧な口調と所作に、英美子は目を丸くした。