第1章 出会いは病院で
「でも、よかったな。ちゃんと連絡くれて」
「うん。あの人、礼儀正しいし、借りは作らないタイプっていうか、絶対タクシー代気づいて連絡してくると思ったんだよな!」
千切の声には、どこか誇らしげな響きがあった。
「それが、千切んのかけた『魔法』てやつかー!」
納得したように蜂楽が頷いた。
そのやり取りを少し離れた場所から見ていた凪が、眠たげな目を細めてぽつりと呟く。
「……連絡来ただけで、そんなに盛り上がる?」
玲王は腕を組みながら、呆れたようにため息をついた。
「まったく……。でも、まあ、千切があそこまで笑うの、久しぶりに見たかもな」
凪はそれに答えず、ただ千切の背中をじっと見つめていた。
その背中には、どこか柔らかな光が差しているように見えた。