第1章 出会いは病院で
時を少し遡り――
「うー!どうしよう……まさかタクシー代払わないままドロンってわけにはいかないよね。助けてもらったんだし……」
英美子は領収書を片手に、部屋の中をウロウロと歩き回っていた。何度も領収書の表と、裏に書かれたメモを交互にひっくり返しては、思い悩む。
「タクシー代、二台分……痛いけど、払わないと人としてどうかってレベルだよね?」
そう呟きながらも、ふと考える。
――そうなると、また三人と会う?いやいや、それは避けたい……
しかし、領収書の裏面に書かれた連絡先を見つめながら、英美子は迷っていた。三人のうち、誰に連絡すべきか。
「やっぱり、一番上に書いてあるし……救急車に乗ってくれたのも、目覚めるまで付き添ってくれたのも千切さんだから、千切さんに連絡すべきだよね……?」
そう自分に言い聞かせるように呟くと、英美子は意を決してスマホを手に取った。
千切の連絡先を登録し、タクシー代の件についてメッセージを送る準備を始めた。