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足元に吹き抜けてく花びら

第10章 家族になる


遠征を終え、ようやくまとまった休みが取れた千切は、英美子との新婚旅行に出発した。
行き先は、英美子がずっと憧れていたイタリア・ベネチア。
サクラは近所の信頼できる老夫婦に預け、ふたりは軽やかな荷物と胸の高鳴りを抱えて空港を後にした。

ベネチアの街は、水の上に浮かぶ夢のようだった。
石畳の路地、運河を滑るゴンドラ、仮面まつりの喧騒と静寂が交差する。
英美子は、ガラス工房の見学を心待ちにしていた。

「この繊細さ、すごい…」

色とりどりのムラーノガラスが並ぶ棚の前で、英美子は目を輝かせた。
千切はそんな彼女の横顔を見て、ふと手を伸ばし、ひとつの小さなガラスのペンダントを選んだ。

「これ、英美子に似てる。透明で、でも芯が強い。」

「ペンダントに似てるって…それ、褒めてる?」

「もちろん。」

ふたりは笑い合い、ペンダントを首にかけた英美子は、少しだけ頬を染めた。
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