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゛裏柱゛稽古編

第3章 鬼もどき


夜の帳が降り、離れの縁側には静けさが満ちていた。虫の音が遠くで鳴き、風が庭の松明を揺らす。炭治郎は膝を抱えて縁側に座り、空を見上げていた。
星が瞬いている。まるで、遠い記憶の光のように。

「禰豆子…」

ぽつりと名前を口にすると、胸の奥がきゅっと締めつけられる。あの夜、鬼になった妹の瞳。人の心を失いかけながらも、必死に守ろうとした命。あの瞳と、今日見た璃玖の瞳が重なった。
鮮やかな赤。縦長の瞳孔。人の姿をしていながら、確かに鬼の痕跡を宿している。

「…『鬼もどき』って、どういう気持ちなんだろう」
炭治郎がそう呟いた時、背後から静かな足音が聞こえた。

「夜風が冷えるぞ。風邪を引く。」

振り返ると、璃玖が立っていた。羽織の裾が風に揺れ、星明かりにその瞳が赤く光っていた。

「すみません…眠れなくて」

「眠れぬ夜は、星を数えるのも悪くない。私もよく、そうしていた。」

璃玖は炭治郎の隣に腰を下ろした。静かに、しかし確かな存在感をもって。

「お主が竈門炭治郎か?妹…禰豆子というのだったな。鬼になっても、人の心を保ち続けたと聞いた。」

炭治郎は頷いた。

「はい。禰豆子は…鬼になっても、誰も食べなかった。ずっと…ずっと、戦ってました。自分の中の鬼と。」

璃玖は目を細め、星空を見上げた。
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