第5章 籠
男の名前は童磨と言った。
童磨は基本的に優しいが、優しいまま人を殺めそうな空気があった。
そのため、さやかは基本的に彼に従うことで生活を成り立たせた。
童磨はさやかのことをあれ以来傷つけようとはしなかった。
──────────しかしさやかの姉も妹も母も、あれきり会えていなかった。
底知れない不安や恐怖を隠すように、さやかは日々の雑務をこなした。
基本的には万世極楽教の布教が仕事だった。
それに伴う活動ももちろんあった。
誰かのためになるのは好きで、さやかは時が経つほど心からの善意で宗教活動に励んだ。