第5章 籠
「ははっ、かわいいね。人間って本当に愛おしい。」
先ほどと変わらぬ綺麗な声で楽しそうにそう言った。
そして、さやかの胸に耳を近づける。
「うんうん♪生きているね。」
さやかの目から涙がぼろぼろとこぼれ、着物にシミができていく。ぐっと奥歯を噛み締め、何も解られまいと身を硬くした。
「さぁて、どこから食べようかなぁ〜。あ、そうだっ」
男は鎖骨の下の裂け目から着物を纏めて一気に破った。
「ひっっっ」
さやかの控えめな胸が空気にさらされ、先端がきゅっと身を縮める。
「ちょっと味見してからゆっくり食べちゃおう♪そうしようそうしよう!」
着物から胸だけ放り出した状態でさやかはいまだに恐怖でどこへも行けなかった。
尻もちの体勢のままゆえに、自分から胸を突き出しているような格好だが、そんなことを気にしている余裕もない。