第5章 籠
さやかは立ち上がると緊張した面持ちで教祖様に寄る。しかし緊張と言っても、最初のような怯え混じりの緊張ではなかった。
教祖様は一段高いところに座っていて、さやかはその段の前まで行くと、再び膝を折って座ろうとした。
その時──────────
大男の口は弧を描き、金の扇子がさやかを掠めた。
「きゃっっっっ!!」
驚いて尻もちをつく。
すっと体が冷えた感覚があり、自分の体に目を落とす。
さやかの着物は胸の鎖骨の下あたりと腰から太ももにかけて大きく裂け目が入っており、白い肌が寺院の軟い光にさらされていた。
さやかは何が起こったか理解ができず、呆然とした。
が、それも数秒。次の瞬間にはここから去ろうと尻もちのままの姿勢で手を後ろに、足も後ろ向きに下がろうとした。
(力が…!入らないっ!!)
(動けっ!動かなきゃ!!!)
全身は恐怖でガクガクと震えだし、指の先まで心臓になったみたいに自分の鼓動が体内を駆け巡る。