第5章 籠
さやかたちは順番を決めることになった。なんとなく2番目がいいような気がしたのだが、みんなそうなので結局じゃんけんになり、最終的には姉、妹、さやかの順になった。
そして母は仕事の時間だから、と言い残し寺院を出て行った。
とうとうさやかの番が回ってくる。
あたりはしんと静まり返っており、人の気配が全くなかった。姉と妹はさやかが待っていた部屋には帰ってこなかった。使いの者が呼びにきたのでひとりで部屋に向かう。
広く大きな暗い廊下を歩きながら、さやかは相談する内容を考えていた。
「やっぱりお父さんのこと、だよね?」
入り口に手をかけ少し隙間を開けて中を伺う。
教祖様は扇子で口元を隠し、天井の隅の方をぼーっと見つめていた。
「あの、お待たせしました…」
おずおずと声をかけて入室する。人見知りをしない性格ではあったが、この大男の前ではなぜか緊張感があった。
「そんなに畏まらなくていいんだよ。俺が君と話したかったんだからね。」
「……ありがとう、ございます。」
「ただ、俺は女の子が大好きでね?というか大好物なんだぁ!あ!そうだ!君名前なんていうの?」
「さやかです」
「さやかか。うーん素敵な名前をもらったんだねっ」
大男はにこやかに微笑んだ。