第4章 近づいて
「覚えて……いないのか。」
さやかはビクッと体を震わせ、目を少し見開いた後、先程よりもさらに顔を赤くして義勇を見た。
「な……、っ」
突然のことに処理が追いつかないのだろう。掴まれた手の方に目線を動かして唇を少し動かした。
そして、なにか泣きそうな目で義勇の方を見て何度か瞬きをした。
可愛らしいさやかのその見た目は義勇の全身を刺激する。早くも下半身には熱が集まってきており、義勇は体育倉庫の薄暗さに感謝した。
震えるさやかを今すぐに抱きしめたい衝動をなんとか押し殺して、義勇は柔らかな手を静かに彼女の元に戻した。
その時─────
ガタッと音がした。
「きゃっなにっ…。」