第4章 近づいて
「……よくわかんないですよ、先生。」
「生涯後悔してたんじゃないんですか?独占できなかったんですよね?その後にチャンスってよくわからない…」
「お前はどう思う、後悔しても仕切れないことを再び初めからやり直せるとしたら。」
「……なんですかぁ、私、恋愛とかしたことないし。彼氏とかわからないし。というか先生もそんなこと考えるんですね!なんだか恋愛とかそういうのと無縁なのかとてっきり……」
「はっっ!!いえ、いえ!!そういうのではなくて、先生ってほら、すごく厳格な…?イメージがあるからその〜…どうなんでしょう、ははは…」
義勇は焦っているさやかを見て少し冷静さを取り戻しつつあった。
あの頃より少し幼さを纏った彼女だが、癖も見た目も当時のままでいつも抑えている感情がどうしても溢れてきてしまう。
義勇は床についていた手をほんの少し、そろりとさやかの方に這わせた。