第4章 近づいて
手始めに唯一ある窓を開けようと試みた。
窓はかなり高いところにあり、どう考えても安全に外に出れる気がしないが、それしかないのなら仕方ない。
さやかは棚に足をかけ、何段か棚をよじ登って窓の鍵に手を伸ばした。砂埃を浴びて、窓の桟がじゃりっと鳴いた。ギリギリのバランスで手が届き、鍵に手が触れる。
しかし鍵が古く、錆で上手く開かなかった。
ぐっと力を込めようとするが角度的に力が入りにくい。両手を使えないのもかなり厳しかった。
(諦めるしかないのかな…。)
降りようとして気がついた。
(高すぎて降りるのが怖いっ……)
さやかは焦った。飛び降りると制服が汚れてしまう気がするし、なんでこんなことも考えなかったのか後悔した。
とりあえず下りるために体の向きを変えようと体を捻った。
「なにをしているんだ。」