第4章 近づいて
(えっ?)
奥にいる冨岡先生とばっちり目が合う。
一瞬の沈黙が流れる。
「今…締まりましたよね?鍵。」
冨岡先生はドアの方まで歩いていき、ドアを開けようとした。
「そうだな。」
(えぇ!!?そうだな。じゃないでしょう!)
(はっ!スマホで……!)
さやかは一通り自分の制服をバタバタと撫でて腰の位置で手を止めた。
「…ない!」「ないな…、」
二人の声が揃う。
ふたりはちょうど同じようなポーズで、再び目が合った。今度は驚きの顔ではない。少しの絶望感が混じる。
「先生…、どうしましょう。私たち、閉じ込められちゃいましたね…」
さやかは俯いてははっと少し笑うと再び先生に顔を向けた。
「あれっ?先生…??」
「……。」
見ると先生は床に体操座りで小さく座っており、この短時間で開けることを諦めたように見えた。