第4章 近づいて

｢おい。｣


現れたのは冨岡先生だった。


｢先生っ、びっくりしちゃいました。へへ｣

｢花凪野だったか。すまない。指示を出していなかったと思って見に来たんだ。｣


「そうです先生！私、何も尋ねずに来てしまって危うく帰るところでした。先生が来てくださってよかったです」


さやかはそう言ってにこりと微笑んだ。

冨岡先生はスパルタで有名だ。さやかは何もできていないことを怒られるのではないかという焦りが表情に出ていないか心配だった。


そんな心配をよそに冨岡先生はよくわからない表情をしてさやかを見ている。

「そうか。では一緒にボールの点検をしてほしいんだ。カゴからボールを取り出して硬さを確かめて柔らかすぎるものは俺に、故障はそっちに置くんだ。」


｢わかりました！｣