第4章 近づいて
さやかは持ってきた雑巾を外の水道で軽く濡らして硬めに絞った。
砂ぼこりを丁寧に拭き取っていく。
しかし拭いても拭いても砂まみれなのは変わらず、全く意味をなさない。
「これって合ってるの…?先生に何やればいいかちゃんと聞いてくればよかった…」
(まあでももうそろそろいいかな、もう帰りたいし…暗くなっちゃうの怖いからなぁ。)
ガタッ
「きゃっ」
突然扉の音が響く。
さやかは驚いて顔を上げた。
見ると、半開きにしておいた金属製の引き戸が先程よりも開いている。
自分自身が物陰に隠れてしまっていて入り口から来た人物が誰なのか確認できなかった。
(ほかのクラスの子が来てくれたのかな……?)
コツコツと足音が近づいてくる。
女子生徒ではない雰囲気がしてさやかはこくりと唾を飲み込んだ。