第4章 近づいて
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放課後。さやかは校舎から少し離れた体育倉庫まで来ていた。
秋とは言えど風がなければ昼間はまだじんわりと暑い日が多く、校舎や校庭は西日の強さを感じる。
体育倉庫は体育館から直接出入りできる入口の他に、校庭から見えない裏側にもうひとつの出入り口があった。
西日はちらりと見える程度で、体育倉庫は夕暮れに薄まっていた。
体育祭のために体育倉庫から備品を出し入れしているせいで体育倉庫はいつもより埃っぽく感じる。
「はぁぁあ……」
さやかは大きなため息をついた。
体育祭のために校内を清掃する役割が各クラスに振られており、今日さやかのクラスは体育倉庫の清掃と校庭の石拾いだった。
体育倉庫は一人、校庭は広いので二人という配属だった。
(カナヲと一緒ならまだ楽しかったのに…)
カナヲは同じクラスで隣の席の親友だ。学校ではだいたいカナヲと一緒に過ごしている。
今日はたまたまカナヲは用事で帰ってしまい、そんな時に限って運悪くジャンケンに負けて体育倉庫清掃。
(はぁ……もう早く帰りたい。)
何をするのかは詳しく聞かされておらず、他のクラスからも誰か来るのではないかと少し待ってみたが誰も来ない。
性格ゆえにサボることもしたくなく、仕方がないので自分ができそうなところをやっておこうという考えに至った。