第3章 予感
「遅れてすみませんっっ!」
「おう!そうか、保健委員だよな!おはよう!ド派手な登場だな」
「っ……おはようございます」
その生徒はみんなの注目に耐えきれず耳まで真っ赤にして、おろおろと自席に着いた。
花凪野さやか、天元はいつもこの女生徒が気になっていた。
綺麗な焦げ茶色の髪を高く結い、白い肌は頬で僅かに赤みがかる。細いその足は机の下できちっと揃えられ、大きな少し切れ長の目がもじもじとこちらを見た。
「あの、遅刻になりますか?」
「おー派手に遅刻だが、委員の仕事ならしゃーないね。次は気をつけるんだぞー。」
ぺこりと頭を軽くさげ少し困り眉で微笑む。
「じゃあ、1時間目の準備〜」
天元の掛け声で再び教室に生徒たちの声が往来しだす。
教壇に軽く腰掛けたまま天元はまた彼女のことをちらりと見た。
天元は生まれた時から花凪野のことを知っているのだ─────