第3章 予感
(ええぇ……大丈夫なの、本当に…)
「あははぁ…さやかちゃん、ごめんね?炭治郎はたぶん大丈夫だからさ。気にしないで、いつもありがとうね。」
ちゅっ
そしてすぐ善逸くんも出ていった……。
(って、ぇぇええ???!!!)
さやかは目をしばしばさせて立ち尽くした。
柔らかい感触がした頬を片手で抑えると、顔に全身の熱が集まってくる。
(……?!…?…?!!…どういうことなの…?)
今まで善逸のことを本気に捉えていなかったさやかは突然のことに頭が追いつかなかった。
(今までの、あの…え?ちゅってしてほしいって、本気の…??えっ私のことがすきとか…そんなことある???)
さやかは今まで恋人がいなかった。
友だちの間で頻繁に起こる恋愛トークも、自分はどこか他人事で、現実感はなかった。
顔を真っ赤にさせたまま、持っていたハンドクリームがぽとりと床に落ちる音がした。