第3章 予感
ふと、善逸くんと目が合った。
「さやかちゃん、炭治郎の手が結構カサカサなのね?だからさぁ、炭治郎になにか塗ってあげれるクリームとかないかなぁ??」
「うーん、クリームかぁ…」
(軟膏とかはあんまり保健室で塗ってあげるの良くない気がするし、先生もいないから何すればいいかわかんないな…)
「そうだっ!」
さやかはごそごそとポシェットの中からいつもつけているハンドクリームを取り出した。
誕生日に母からもらったもので、カモミールのいい香りがする。さやかは結構気に入っていて、いつもこまめにつけていた。
「これ、私のだけど、今日は竈門くんにもつけてあげるね?保健委員なのに処置とかじゃなくてごめんね。」
そう言って私は竈門くんの片方の手をとって、手の甲に少しのクリームを出した。
自分よりも男の子らしい手に、さやかは少しドキッとした。