第3章 予感
ようやく傷が見つかると、一旦手を離し、ガーゼに消毒を適量出した。
そしてまた手をとると、優しく傷口に当てていく。
「痛くない??」
「さやかちゃんが手当してくれる幸せで痛くないさ〜!」
「それならよかった〜」
なんだか私まで幸せな気分になってきた。
(こうやって慕ってくれる後輩がいて、私って結構幸せだな…)
そう思いながらさやかは柔らかく微笑んだ。
秋になりかけのまだ温い風がそよそよと窓からさやかの髪を揺らす。
さやかの髪はいつも高く結い上げられている。結び目には大きなリボンのバレッタをつけている。
さやかは密かなリボンコレクターで、自室には色んな質感のリボンが30種類ほど綺麗に収納されていた。
今日はチュール素材の白いリボンだ。
さやかの白い肌にとてもよく似合い、まるで人形のような愛らしさがあった。