第3章 予感
そうそう、善逸くんが来る時はこの生徒も決まってついてきていた、いや、正確には連れてこられていた。
彼の名前は竈門炭治郎、善逸くんと同じく1年生。彼は礼儀正しい、とにかく誰からも嫌われていないタイプという感じ。でも、真面目なのに耳にはいつも大きなピアスを下げていた。
(冨岡先生はこれ知ってるんだよね…?)
いつも疑問だった。
「す…すみません。さやかさん。」
焦った竈門くんが顔を赤くして言った。
そんな時にも善逸くんは、ちゅーしてよー!などと言いながら唇を尖らせている。
「もう!善逸くん!紙で手を少し切ったのなら洗って乾かした方が治るって言ってるでしょ!」
「そんなこと言わないでよぉ!俺が痛いって言ってるんだよぉ?!」
眉毛を八の字にして私のブラウスの端を握りしめてくる。
「善逸!!さやかさんの制服がシワになるだろう?!やめるっ…んだ!」
竈門くんが善逸くんの手を無理やり私のブラウスから外すと、自然に竈門くんの手は私のブラウスを掴むことになる。