第2章 夢うつつのあの人
「はぁ……」というかのように冨岡はあからさまなため息顔をし、テレビのボタンを押した。
『明日のお天気は、概ね晴れ。ところにより雨雲が……』
テレビのやけに整えられたアナウンサーの声が部屋の沈黙を埋めた。
実弥はだらだらと鮭大根を口に運んだ。
冨岡ほど目をきらきらさせなくても、その辺で売っている鮭大根よりも美味かった。
ポトッ……ポトッ…
よく見るとたまに冨岡は食べこぼしをしている。
「オィ、テメェは食べ方にも躾がなってねェのかよ?!」
床に転がっているティッシュを一枚とってこぼしたものを拭いてやる────
はっ?!
(なんで俺がこいつの世話を焼かねェといけねェんだァ???!)
パチンッ
自分で自分の行動にびっくりした実弥は反動で冨岡の頬を打った。
「……?!??!」
盛大に殴られた冨岡を目を見開いて心底驚いた顔をしていた。