第2章 夢うつつのあの人
台所から居間に戻ると、不死川は宿題のチェックをしているようだった。
(体育に比べ、数学はそういう雑務が多く大変そうだ。不死川はこう見えて丁寧にコメントをするタイプなので、人一倍時間がかかるだろう。)
義勇の足音に気がついて不死川は顔をあげる。
「おォ、悪ィな。」
不死川はペンケースに文房具をしまい、ノートをコンコンと端で揃えると、プラスチックの厚みのあるケースに全てしまい込んだ。
へたんとしぼんでいたリュックサックがまた腹にたくさんの個人情報を抱え込み、居間に大きく居座った。
「遅くなってすまない、沢山あるし存分に食べろ。」
(怒りもついでに静まって一石二鳥だしな。)
義勇はまたムフフと笑った。
不死川はよく分からないという顔をしながら盆を自分の方に寄せた。
ふわふわと湯気が漂って、義勇のお腹もギュルルと鳴った。
不死川はそれを聞いてか聞かないでか分からないが、
「テメェも腹減ってたんだろ、作らせて悪ィな。」
と片方の口角をあげた。