第2章 夢うつつのあの人
ぐぎゅるるるる
不死川のお腹が高らかに鳴った。
「……なんだ。腹を空かせて怒っていたのか。承知した、待っていろ。」
「……っ!!!!」
(不死川も結構子供っぽいところがあるな。)
なにか言いたそうな不死川を残し、義勇は口元に笑みを浮かべながら台所に向かったのだった。
今日の夕食は鮭大根と白飯。
たまたま義勇の大好物だった。
(仕事で疲れたあとに食べようと思って昨日材料を買っておいてよかった。不死川もお腹がすいていることだ、喜ぶに違いない。)
ムフフ…
料理は基本的にしたくない派だが、鮭大根は好みの味にするのに凝っていた。
手際よく鮭を捌き、大根を切っていく。
ちょうど今晩の月はこんな形だったな、と義勇は思った。
コトコトと煮詰めたら出汁の香りがふわっと広がった。大葉を入れながら、炊いた白飯を茶碗に注ぎ分けた。
出来上がった物を丁寧にお盆に乗せ、居間に向かった。