第1章 熱に浮かされて
何を言っているか、よく分からなかったが、こうしているうちに殺されてしまうのだろうということはわかった。自分の弱さと未熟さに涙が出る。
一度は意気込んだものの、未だに師範に助けてほしいと願っているのだ。
涙が顔の血を掬って顎から溢れていく。
カサカサと蜘蛛がまた巻き付いていく。邪気がゆらめいて、まだぐるぐると渦巻いていた。
(なにか焦っているようだわ…。)
次に来る攻撃に備えて、さやかは気を張った。
────ドサッ
何が起こったか分からなかった。
鬼が焦げ散っていく匂いがする。
(誰か、首を斬ったの??この一瞬で。)
「十二鬼月がいるわ、気をつけて…!!」
鬼はそう叫び消えていったようだった。