第1章 熱に浮かされて
ドグン!!!ドグン!!!!!ドグン!!!
有り得ない程の轟音が自分の中から聞こえていた。熱い赤が顔を覆って火傷をしたようだった。
(斬られた!)
そう思うまでの一瞬が、途方もなく長く感じた。
世界との境界が分からなくなる。視界を遮るぬるぬるとした生命の証が流れ落ち、どんどんと頭を空っぽにしていく。
「斬る!!!お前は、私が!!!!!!」
さやかは力を振り絞り、糸を振りほどこうとした。
「────なんで、そんなにがんばるのよ!」
女の鬼の叫び声が聞こえた。
「お前なんか、こうしてやるんだから!死ね!死ね!!」
ギリギリ……ギリ…
遠目に見える鬼が見えなくなるくらい、鬼殺隊士が立ちはだかった。
またもや絶望の表情を浮かべ、涙と血を流している仲間たちが操られる。
さやかは糸を素早く切りさり、最短距離で鬼の元へ飛んで行った。