第1章 青の約束(青峰大輝)
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「前十字靭帯が断裂してるね。競技復帰には早くて半年、長くて1年はかかるかな。残念だけど、大会は諦めて…」
私は絶望した。
今まで人生をかけてきたものが全て無駄だったという感覚になった。
部活を辞めると言った私に、チームメイトはせめてベンチにいて欲しいとお願いされたが、私には楽しそうにバスケをするみんなを見ているのが辛かった。
それ以来、あえてバスケから離れるようにした。
高校も強豪校からいくつも推薦が来ていたが、女バスの無い桐皇学園に進学した。
高校生活は穏やかに過ごすはずだったのに…
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『っ…青峰くんには関係ないでしょ…離して…』
未だに手首を掴んで離さない彼に言う。
そんな彼の掴んでいる力がより強くなった時、
「金城…だっけ?なぁ、もうバスケやらないのかよ?」
『…ここの学校、女バス無いの知ってるでしょ?もう放っておいてよ…』
「…そうかよ。」
そう言って青峰くんは掴んでいた手を離した。
それを確認した私は、屋上から降りようとした。
その時…
「なぁ金城!マネージャーやらねぇ?」
『…っ!?』
私は思わず足を止めた。
「…バスケ好きなんだろ?女バスは無ぇけど、ウチのマネージャーなら出来んじゃね?つーかやれよ。」
『何…勝手なこと言わない…』
「よし。決まりな。じゃ、ダリぃけど一緒に体育館行ってやるよ。」
そう言って青峰くんが私の隣りまでやって来て、
「ほら。行くぞ。」
と、また私の手首を掴んで屋上のドアを開けて歩き出した。
『ちょ…私やるなんて言ってないっ!!離してよっ…!』
「いーから、黙ってついて来い。」