第1章 青の約束(青峰大輝)
『ちょ…青峰くん!待ってっ…!』
部室の前まで来たところでやっと止まってくれた。
掴んでいる手はそのまま。
他の皆はまだシューティング中。
『どうしたの?なんか…青峰くん変だよ?』
「……他の男に触らせてんじゃねぇよ…」
『…え?』
「……他の男と2人きりになってんじゃねぇ!」
___グイッ…
気がついたら、私は青峰くんに抱きしめられていた。
『あ…あの…青峰…くん…?』
言葉の強さとは裏腹に、抱きしめられた腕は、私を優しく包んでくれていた。
私は何がなんだかわからず、ただ固まったまま青峰くんに抱きしめられていた。
顔が熱い…きっと今赤くなっているだろう。
「…俺がお前を日本一にしてやる…。中学で叶わなかったお前の夢、俺が叶えてやる。だから…優勝したら俺の女になれよ…。」
『っ…!!』
まさかそんなことを言ってもらえるなんて思ってもいなくて、私は青峰くんの胸で溢れそうになる涙を抑えるのに必死だった。
だが、今までの思いが溢れて感情を抑えられず、青峰くんの背中に腕を回し力を込めて思いきり泣いた。
そんな私の背中を、青峰くんは優しくトントン…と宥めてくれる。
「返事は今じゃなくていい。ウィンターカップが終わったら聞かせてくれ。」
そう言ってゆっくり私を離し、私の顔を覗いては青峰くんの大きな手で涙を拭ってくれた。
「…帰ろうぜ。」
部室から荷物を持って歩き出した青峰くんを急いで追いかける。
(…私、青峰くんのこと…でも、まずはウィンターカップに集中しなきゃ!)
そしていよいよ、ウィンターカップが始まる。