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太陽と月 【文スト/中原中也】

第1章 再会


『ッい"!…ッ!!』

ドンっと音と共に私の身体は壁へと押し付けられ、身動きが取れなくなった。

いつもなら抜け出せるはず…

だけど抜け出せないのは異能力を使われているからだ。

"重力操作"

この異能力は知っている。

鼓動が早くなり、背中に冷や汗が伝った…

「漸く見つけたぜ…白雪…」

『ッ…中也…』

深く被った帽子から覗かせた瞳は冷たく鋭かった。

私はただ息を呑むことしかできなかった…




いつも通り街を歩いていた。

否、いつも通りではない。

警戒をしながら歩いていた…

実は数日前、太宰さんが行方不明になった。

彼が突然いなくなる事はよくある事ではあった。

でも、今回は違う。

"気をつけろ"

このメールを最後に太宰さんは姿を消したのだ。


そしてこのメールが届いた翌日…

鏡花ちゃんが探偵社にやって来たのだ。

彼女を見て一目でポートマフィアの人間だと判った。

昔の私と同じ瞳をしていたから…


でも少し違うのはまだ彼女の瞳には光があった。

きっと彼女ならまだ間に合う…

敦くんが彼女の光になってくれる。

そう思った。


だから私は彼女を探偵社で預かることに賛成した。

話を聞けば鏡花ちゃんは姐さんの元にいたらしい。

きっと姐さんのことだ。

鏡花ちゃんのことを必ず取り戻そうとするだろう…

探偵社は必ず狙われる。

そう思って警戒をしていたのに…

ほんの一瞬の隙だった。

突然腕を引かれ、路地裏に引き込まれたのだった。


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