第3章 動き出す時計の針…
"明日まで時間を与えよう…その時に答えを聞かせてくれ…"
静かになった部屋に1人…
私はどうするべきかを考えていた。
私の異能力…"ヒガンバナ"は辺りに致死量の毒を放つことができるのだ。
その毒を一息でも吸えば即死…
いとも簡単に人を殺すことが出来る。
そしてもう一つの異能力が…"再生ノ花"…
この能力こそが、死者を蘇らせることが出来るのだ。
勿論、治癒効果もある。
効果は与謝野先生の異能力には勝らないものの、ある程度の治療はできる。
神をも越える力…
そう呼ばれてきた。
然し、この異能力を発動するには対価が必要なのだ…
その対価が…魂だ。
毒で倒れた者たちの身体に彼岸花を咲かせ、その花から吸魂する。
つまり、私が殺した者たちの魂は蘇らせる者の為の対価となるということなのだ。
厄介なことにこの異能力は発動する直前に吸魂しなければならない。
つまり、フランシスの願いを叶えるということは誰かを殺さなくてはいけないということなのだ…
"人を救う側の人間になれ…"
織田作との約束を破るということになる。
だけど…
この提案を飲まなければ大勢が死ぬ。
やはり彼の提案を飲むしか…
その時だった。
「敦からの伝言よ…"探偵社を信じろ"って…」
『ッ!』
分厚い扉越しから突然聞こえた少女の声…
それだけを云い、少女の気配は消えた。
その少女の一言で私は決心した…