第3章 動き出す時計の針…
「ヨコハマを焼け野原にする、これを使ってな…」
フランシスの手元にあるモノに私は息を呑んだ。
それは…
Qの人形だった。
『ッ!貴方それがどれだけ恐ろしいモノか判っているの!?』
「勿論だ。これ以上俺の仲間を死なせる訳にはいかんのだよ、悪く思わないでくれ」
フランシスの瞳は静かな怒りを見せていた。
仲間を失った彼の気持ちは判る…
だけど…
『それでも無関係な人間を巻き込むのは違う。貴方の目的はなんなの…何故敦くんを狙うの』
「俺は"本"を探している。」
『"本"…?』
「ああ、書いた事が真実となる白紙の文学書だ。ある異能力者の予知能力でその本は此処ヨコハマに封印されていると予知した。そしてその本を探す鍵が…」
『ッ…敦くんってこと…』
「その通りだ!」
太宰さんが何故、敦くんを拾ってきたのか…
この時なんとなく判った気がした。
きっと彼は…
こうなることを予想していたのかもしれないと…
だとすれば疑問が生まれる。
何故、私を捕らえたのか…
その答えはフランシスが本を探す理由だった。