第3章 動き出す時計の針…
「着いたぜ。くれぐれも気をつけろよ、いいな?」
『判った…ありがとう、中也』
白雪との時間はあっという間だった…
本当はもっと一緒に居てぇのが本音だが、お互いの立場もある。
なにより白雪を困らせたくはねぇ。
それにまた逢ってくれると白雪は約束してくれたんだ…
『じゃあ行くね…ッ!んっ///』
車から降りようとする白雪の表情がどこか寂しげに見えた。
その瞬間身体が勝手に動いていた。
左手は白雪の右手を掴み、右手は白雪の後頭部に…
ちゅっ…
車内に鳴り響くリップ音
「フッ…接吻くれぇで真っ赤になってんじゃねぇよ」
『なっ///』
顔を真っ赤にし、慌てて車から飛び降りた白雪が凄ぇ可愛くてつい頬が緩む…
今までの彼奴なら顔色ひとつ変えることもなかっただろう…
白雪を変えたのは間違えなく…
"織田作之助"だ。
奴に出逢ってから白雪は変わり出したのだ。
悔しい気持ちがあるが、こんな可愛い白雪を見れたことに感謝はする。
車内に1人、だがまだほんのり残る白雪の匂いがさっきまで彼奴が隣にいたんだと実感させてくれる。
無意識に自身の唇に触れていた。
彼女に触れた唇は未だに熱を持っていた…
「ッし!切り替えねぇとな」
こんな緩んだ顔で仕事する訳にはいかねぇ…
気持ちを切り替えハンドルを握り直した。