第3章 動き出す時計の針…
暫くぎゅーっと抱き締められていた。
嬉しかったけど、此処は外…
やっぱり恥ずかしいもので、名前を呼べば…
「戻って来いよ…」
表情は見えないけど、寂しそうな声色に胸が締め付けられた。
戻れば中也と一緒にいれる…
だけど…
『ッ…ごめん。それは出来ない…』
「"アイツ"か?」
中也の云う"アイツ"とは織田作のことだろう…
私は小さく頷くと、中也はハァーっとため息を吐いた。
「ま、そんな簡単には戻ってくるとは思ってねぇよ…なぁ…これからも俺とは逢ってくれるか?」
思いがけない中也の言葉に胸が熱くなった。
頭よりも先に口が動いていた…
『ッ!…いいの…?』
「ッ!それはこっちの台詞だ…いいのか?」
『うん…逢いたい…』
初めて自分の気持ちを抑えることが出来なかった。