第3章 動き出す時計の針…
走り去る中也の車を見送り乍らも頭の中では先ほどの出来事でいっぱいだった…
中也とのキスは初めてではない…
なんなら身体を重ね合わせたことだってある。
なのに…
胸の高鳴りと、中也に触れられた箇所が熱くて堪らないのだ。
自分の顔が真っ赤であるということは鏡を見なくても判る。
本当は中也と逢うべきではない…
自分の危険もそうだけど、なによりも中也は今やポートマフィアの幹部だ。
首領である森さんの命令に背いたとなればただでは済まない。
それだけは避けたい…
でも中也のあんな嬉しそうな顔を見てしまったら…
『…ッ逢いたくなるよ…』
嬉しいはずなのに胸が苦しくて堪らない。
恋というのはこんなにも厄介なものなのか…
『ふぅ…切り替えなくちゃ…』
中也のことで頭はいっぱいだけど、それは一度忘れなくては…
気を引き締め直した。
嫌な予感がするのだ…
そして最悪なことにその予感は大抵当たるからだ…