第3章 動き出す時計の針…
呼び出し音すらも煩わしく感じるほど、中也の声が聞きたくて堪らなかった。
3コール目で漸く…
"やーっと電話してきやがったな!"
嬉しそうな声色に自然と頬が緩む…
『中也…その今日はありがとう。庇ってくれて…』
"別に構わねぇよ…だが恐らく首領も気付いてるはずだ。それとだ…組合(ギルド)が日本へ向かっているとの情報も出ている。狙いは手前んとこの人虎だろうが、念の為、手前も気をつけろ"
『ッ!組合…?』
敦くんが狙われているのは太宰さんから云われている。
でも組合が動き出したというのはマズイ…
組合とは北米を拠点にする異能力者集団だ。
構成員は財政界や軍閥の重鎮揃いで、膨大な資金力と異能力で策謀を企む秘密結社と噂されている。
ポートマフィアに敦くんを捕まえろと57億もの懸賞金をかけるほど敦くんを狙うのは何故…?
中也の心配は恐らく私だろう…
私の異能力は珍しい。
なんなら幻ともされているもの。
私の異能力を知っているものは数少ない…
森さんが私を生捕りにしろというのはこの異能力があるからだ。
私のことは兎も角、敦くんは守らなくちゃ…
そんなことを考えていると…
"明日…少し逢えねぇか?"