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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第14章 次回の約束


 カフェのガラス扉を押し開けた緒方は、芦原と星歌が談笑しているのを目にする。緒方の胸中では、星歌に恋する弟弟子への罪悪感と嫉妬が入り混じる。芦原はカウンターの真ん中の席、彼の定位置に座っている。緒方はいつも通り端の席に座った。
「緒方さん、こんちは」
 芦原は無邪気に声を掛けてくる。カウンターでエプロン姿の星歌は「いらっしゃいませ」と穏やかな笑顔で迎える。
「そういえばさ、星歌ちゃん、遊園地とか好き? 」 
「あまり行きませんけど、嫌いじゃないですよ」
 芦原は今日も星歌の好みを探っているようで、緒方はそれがおもしろくない。
「この前、久しぶりに友だちと行ったらさ、めっちゃ楽しかったよ!でもさ、4人でワイワイ行ったのに、途中で2人いい感じになっちゃって、残されたオレともう1人、めっちゃ白けちゃったんだよね」
芦原は笑いながら肩をすくめる。
「ダブルデートですか?」
 星歌はさらっと聞き返す。
「え、いやいや! デートとかそんなんじゃないよ! ただの友だちだよ!」 
 芦原は慌てて手を振って否定する。アイツ、動揺しているな…と、緒方は芦原の焦った様子を眺めつつ思う。他の女と遊園地か…まァ、アイツらしいな と、少し呆れもする。そして、芦原が他の女と遊んでいるなら、オレが志水くんを誘ったっていいよな、と罪悪感が薄れていくのを実感する。
「ふふ、ダブルデート、楽しそうですね」
 星歌は、緒方が注文したコーヒーを丁寧に用意しながら笑っている。
「本当に違うよ!ただの友だち!」
 芦原は必死に否定しているが、星歌はそれには答えず、緒方の前にコーヒーを置き、いつものように言う。
「ごゆっくりどうぞ」 
「…ねえ、星歌ちゃん、今週末って何か予定ある?」
 芦原は手の空いた星歌に聞く。
「ええ、ちょっと…」
「そっか…」
 微笑みながら曖昧に答える星歌と残念そうな芦原を見て、日曜はオレとの約束だと、緒方の胸に優越感が湧く。次はどんな彼女が見られるのか、約束の日が待ち遠しくてたまらなかった。
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